携帯電話はパームトップPCに — MWC 2011 (1)

去る2月14-16日、バルセロナ(スペイン)で開かれた、モバイル ワールド コングレス Mobile World Congress (MWC)を訪問しました。

混み合う広大な会場。サムスンのギャラクシーに人だかり。

スマートホンとタブレットの発展、ネットワークは追いつきが急務

携帯電話は急速な進化を続け、スマートホンに姿を変えつつあります。それは、携帯電話機が可動パームトップコンピュータ、つまりネットと繋がったモバイル パソコンになり、移動通信サービスを提供する通信事業者はインターネットサービスプロバイダ(ISP)になるということです。今年は、iPadのようなタブレット端末の急成長と相俟って、携帯電話のパームトップコンピュータ化が急速に進んだことが昨年と比べての大きな変化でした。

スマートホンや、タブレット端末の真骨頂はデータ通信です。その能力にふさわしいビデオソフト、モバイルヘルスなど多種多様のアプリケーションと3D(三次元立体)画面などの新機能とが、互いに開発アイデアの提供、技術の供給という関係で刺激し合いながら、全体として、モバイルサービスを豊かにしていました。通信事業者は、LTE(Long Term Evolution, 携帯電話の高速なデータ通信仕様の一つ)の可能にする情報化社会の未来像を描こうとしており、方やモバイル産業のハード、ソフト、サービス企業(グーグル、ヤフーも含む)は通信サービス企業と競争、また連携し合って、モバイル通信の急速な変化を進めているということです。

多種多様なアプリを展示するグーグルの会場

同時に、通信事業者、ハンドセットメーカー、システムハウスによるアプリケーション市場の主導権をめぐる競争が目に見えるようになりました。それは、ネットワークインフラを提供する事業者にとっては、急増するデータ通信を支える大容量ネットワーク造りを迫られることを意味します。その問題を解決するフェムトセルなどを利用したソリューションが至る所で展示されていたこともまた今年の特徴でした。

新アプリケーションを生み出すのは人の情熱

スマートホンやタブレット端末を利用した、アプリケーションが無数に展示される中で、グーグルの広大なブースに展開される、アンドロイドのアプリケーションは質量ともに圧巻でした。

広い展示フロア、数多くのアプリケーション一つ一つにその開発者がつき、来場者に熱心に説明します。その多くは若い人たちで、アンドロイドのイメージキャラクターのついたTシャツというラフな服装。フロアの中央には滑り台、奥には健康ドリンクを作ってくれるジュースバー(写真 下左)!

従来のビジネスショウの常識を超えた発想がここにはありました。自由にタブレットやスマートホンを使って楽しもうよ!-そんなメッセージが会場の空気に満ちていました。

グーグルの展示場はセンスが群を抜いている。写真はヘルシードリンクのバー

また、展示ではありませんが、ブロガー専用タイムを設けたLG社の作戦も良いところを突いています(写真下。LG社、ブロガーオンリー タイムの看板。)初日の午後5時半から6時半まで、LG社のブースには、ビジネススーツでなく、ジーパンにセーターなど、ラフな服装の人々が大勢集まりました。 個々のブロガーの情報発信力はマスメディアより小さくても、ブロガーが無数にいる現在、LG社は彼らを束にしたブログの発信力に期待しているようです。ブロガーには、個人として自由にアイデアを伝える熱意があります。そこにはおのずと大規模なメインストリーム メディアと違った情報伝播力が生まれるのです。

ブロガータイム

本稿は通信興業新聞に連載されました。

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