アクセシビリティーと国際標準 (3)最終日

アクセシビリティーと国際標準会議も最終日を迎えました。

今日は、今まで二日間の議論から出てきた、アクセシビリティー技術の標準化課題を基に、行動計画を立て、その担当者(機関)決め、更にプライオリティー付けをしました。

立場の違う人々が集まっているので、活発な議論となりました。それでも、行動計画は常識的な方向に纏まったと思います。

思うに、標準化をテーマにする会議に出席するのは20数年ぶりでした。日本にいた頃、ITUの会議に出ていましたが、それ以来です。

世界の標準化の動きは変りました。

まず、気付いたのは、ITU, ISO, IECという、いわば伝統的な世界の主要標準化機関が、連携を深めたこと。今までも、ITUとISOとの連携はありましたが、今ではそこに、もともと国際機関ではなく、企業団体であるIECも入って、三つの機関の連携が以前よりずっと強まったように見受けました。

次に、標準化が、これらの由緒あるとも言うべき機関の専売特許でなくなったこと。それを、これらの機関も受け入れ、外部のステークホルダーの知識、経験、ニーズを広く集めて標準化に取り入れようとしていること。そもそも、インターネットを支えるTCP/IPなどの多種の技術は、これらの組織の外で、自主的に集った人々によって、いわば草の根的に決められ、進化してきました。サイバースペースを情報の宝庫として使えるようにしたwww (World Wide Web)も然りです。

それでも、インターネットやWWWを開発した人々は、技術専門家でした。今回の会議では更に、身体障がい者や高齢者など、身体機能を充分に使えない人々までをも、標準化についての要望、評価を聞くために加えようというものです。技術を必要とする人に聞くという姿勢は大変重要ですが、これらの機関の場合は、それが新鮮に聞こえます。今まで標準化活動が専門家にのみ担われてきたのが、アクセシビリティーという人に直接関わる課題が出てきて、標準化プロセスも参加者を多様化する必要ができたということでしょうか。

私にとっても、会いたかった人々に会えました!

WWWコンソーシアム(W3C)で、ウェブのアクセシビリティーガイドライン作りを引っ張っている、Judy Brewerさん。彼女自身も車いすの人とは、ご本人にお会いして初めて知りました。

他にも、誰にも使いやすいウェブサイトを作る仕事をしているドイツの若い技術者、JBさん。ICTにユニバーサルデザインの考え方を根付かせることにヨーロッパで一番熱心なアイルランドで、政府の立場でその仕事をしているEOさん。

また、日本で点字の着いたICカードを試作された、ICカードの専門家、YYさん。おだやかに語られるお仕事のお話からは、ご苦労、工夫の数々が覗われ、思わずお話に釣り込まれました。日本で仕事をしながら、国際標準化の活動を続けることには、言語の齟齬など、日本ならではの難しさもまたあります。私も、以前ITUの標準化会合を担当し、よく似た経験したので、YYさんのお話が人ごととは思えませんでした。

参加者の中には、全盲の方々、車いすに乗った方々が何人もおられたことは、私にとっても新しい体験でした。

このように、同じテーマに違う立場から関心を持つ人々を集めた今回の会議は、目的を達成したと思います。見解の違いをお互いに学ぶことができ、議論も豊かなものでした。

これから、標準化のプロセスは、IGF (Internet Governance Forum)のように、マルチステークホルダー方式という、色々な立場の人々が比較的自由に集って合意を形成するようになるのでしょうか?標準化の場合、最後には具体性のある技術仕様や、利用手順などを決めなければいけないので、最後には専門家がミッチリ仕事をすることになるとは思いますが。これからの変化を見まもりたいと思います。

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