30年ぶりに戻ったら (58) — ボージョレヌーヴォー、またはフラットな事実を知った思い出
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【ボージョレヌーヴォーは遠きにありて思うもの】
🍷🍷🍷
私の今住む街は、首都圏内だが地方都市郊外で、老齢人口30%と市内でも有数の老人居住地域だ。そんな街の近所のスーパーでこんなチラシを見た。
「ボージョレヌーヴォー ご予約承ります!」
ひゃーー!ここにまで😲
ヨーロッパに渡る前のこと、私は新しいものが好きだった。その頃日本にもボージョレヌーヴォーは入っていたが、今のように誰もが耳にしたことはあるような年中行事にはなっていなかった。
たまたまボージョレヌーヴォーを知っていた私は、会社の友人を誘って都内の有名ホテルにそれを飲みに行ったものだった。頭の単純で新しいモノの好きな私、ヨーロッパと同じことをするのが嬉しかったのだ。
今でも覚えている、30年以上前の東京のレストランで、そのボージョレヌーヴォーは一本7000円した。高かったが、そういうことさえ嬉しかった。”私って特別なことしてるんだ♪”😊
自分が浅はかだったと気付いたのは、その後でジュネーブに出張した時だった。
どうということのないスーパーにも「ボージョレヌーヴォー 入荷」の張り紙は下がっていた
その値段を見て驚いた。
5スイスフラン!?約500円。
私が7000円払って飲んだ、あのワインが!
目からウロコがハラリと落ちた。
ボージョレヌーヴォーを祝うのは、秋の収穫祭みたいなもの、新酒のワインが今年も出たよ!ーー そういう素朴な慣習なんだ。
後年パリに渡ると、そこはやはりワインの国、私も門前の小僧となりワインのおいしさが少しはわかるようになった(と思う)。そんな私にとって、ボージョレヌーヴォーは美味しいとは思えなくなっていた。
夢が一つ消えたような、またワインの新しい世界が拡がったような。
と言ったけど、ボージョレヌーヴォーのお好きな方、どうぞ祝って下さい!味の感じ方なんて主観的なものですから。そこに優劣はありません。
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。

これは友人から贈られたオルガニックワイン。ボージョレーヌーヴォーではない
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学びのポイント:それでも一人で妄想をたくましくして夢見ているよりは、事実を知る方が面白い。自分の思い込みや思い違いに気付くことが違う文化を理解する糸口だからだ。
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