30年ぶりに戻ったら (103) — ランチにワインを添えて
【ジュネーブでは昼間からお酒を飲む?】
初めてジュネーブに出張した☆十年前のこと。初めてのジュネーブ、初めての国際会議だったので発見は何かしら毎日あった。
中でも驚いたのが、国際会議場のカフェテリアの棚に並んでいた、ワインをつがれたグラス。容量100ccぐらいの小ぶりのグラスに、赤や白のワインが注がれて置いてあり、誰かにヒョイとつまみ上げられてトレイに乗せるられるのを待っている。良く見ると同じ棚にビールの小瓶も並んでいる。
ここは国際会議場なのに、セルフサービスの社員食堂みたいなカフェテリアなのに、ここの人たちは昼食時にもワインを飲むのか!
なんてリラックスしているんだろう、と私は半ば驚き、そののんびりした感じが半ば羨ましかった。
実際、私の出席した会議の昼休みは2時間あった。
当時私の働いていた会社の昼休憩は1時間。その1時間さえとらずに仕事を続ける人もチラホラいた。
出張が終わって日本に戻り、同僚にその話をすると「ジュネーブでは昼間から酒を飲むのか?」と呆れられた。そうじゃないんだけどなーー。
後年、自分がヨーロッパに根を下ろして住むようになって気がついたが、ヨーロッパ、少なくとも私の住んだフランス語圏では飲酒の感覚が日本のそれとは違うのだ。程良いアルコールを入れて仕事の緊張を解きほぐす、またワインと共に食事を楽しむのだ。昼間から酔っていい気分になるためではない。こういう感覚の小さなズレは、現場に来ないとわかりづらい。
日本には食事を楽しむためにお酒を添える習慣がないのだろうか?「お酒→酔う→不真面目」という連想が誰の頭にもしっかり植え付けられているんだろうか?
人生を、暮らしを楽しむためのお酒に、厳しすぎる目を向けなくてもいいと思う、、そういう私は、フランス語圏に30年住んで感覚がラテン寄りに傾いた?
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
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学びのポイント: 人は自分の世界を見る眼鏡をかけて、そのまま別の世界を見る眼鏡をかけている人を見るものだ。少しでも互いのかける眼鏡の違いに気がつくと、あなたの世界は一気に拡がる。
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