30年ぶりに戻ったら (75) — 思い込みの殻の割れた日、山編
【私の常識が崩れた日】
30年間ヨーロッパに住み、面白かったことは多かったが、自分の思い込みの殻がパカンと音を立てて割れる経験は好きだった。その度にパッと視界が広がる気がするのだ。
例えば富士山。
今日は初めて”ゆりかもめ”というモダンな鉄道に始発から終点まで乗る経験をした。日本科学未来館に行ったのだ。
高架鉄道から見る東京湾の景色の美しいこと!こんな角度で目にする東京湾は新鮮だった。
そこから見る、夕焼けに浮かび上がる富士山のシルエット!
おーー美しい、と思った途端に思い出したことがある。
インドネシアを旅行した時のこと。ジャカルタからデンパサール(バリ島)まで2時間足らずのフライトだった。その時、真っ黒な富士山が20コぐらい連なるのを見た。
おや!?
よく考えるとコニーデ型の火山がジャワ島にそびえているのを私は飛行機から見下ろしていたのだ。熱帯だから山頂まで雪は無い。つまり真っ黒に見える。この山々の山頂に雪をかぶせれば一層富士山そっくりになる。
今までなんとなく「富士山は日本の美の象徴」と思っていたが、インドネシアにはそれが20コ余りもあるのか、と思ったら肩が軽くなったような気がした。
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
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学びのポイント:お国自慢も自分の思い込みの殻のうちかも知れない。そうだとしても美しいもの、良いものは良いが、「これだけが世界一!」と簡単に思い込むのは止めておく方が、人生は面白い。
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