本は捨てるものではありません
中学生になったとき、
両親から一人で東京に行くことを許された。
初めて一人で行ったその行き先は、神田駿河台下の三省堂だった。
学習参考書を買いに行ったのだ。
大学生になって東京に住み始めた。
神田の本屋街までいつでも簡単に行けた。
その頃だ、古本屋を訪ねて歩くのが面白くなったのは。
神田の古本屋街の一角に
絶版になった岩波新書を扱う小さな店があって、
その背表紙に書かれたタイトルを読むだけで楽しかった。
「わたしは中国で地主だった」というタイトルの本を今でも覚えている。
古本だったが、高値がついていて、
学生のわたしには買えなかった。
だから今でも、その本を覚えているんだけど。
古本を好きになったのは、
「本は捨てるものではありません」と母から言われて育ったわたしの、
三つ子の魂だったのかもしれない。
今日、届いたこの本は、アマゾン古本市で買ったもの。
誰かが読んだ本を、こうやって廻してくれたんだーーそう思うと、
表紙の折りジワに親しみが湧く。
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