30年ぶりに戻ったら (66) — 湿度こそ日本のエッセンス
【ここは水に恵まれた国】
どうも勝手が違うのだ。
夕食後に茶碗を洗い、水切りカゴに入れておく。
翌朝、茶碗の糸底にまだ水が付いている。
コップの内側にも水滴が付いている。
洗濯物が室内で乾かない。
そのくせ、日が射すと洗ったシーツが半日でカラッと乾く。太陽の匂いを染み込ませて。
レタスなど葉物野菜の水切りがいつも不完全で,私は水っぽいサラダを食べている。
お皿に載せた野菜の表面が乾かないのだ。
パンを2−3日放っておくとカビが生える。
窓の桟や外壁の内側の壁に黒いカビが生える
これは我が家に食器乾燥機がなく、乾燥機の機能のない旧式の洗濯機を使っており、家の手入れが悪いためでもあろう。
しかし、ヨーロッパでも私は同じように暮らしてきたんだが。
食器は洗ったとすぐに自然乾燥した。
大きなベッド用シーツでさえ、洗って屋内に干しておけば一晩でカラカラになった。
葉物野菜は洗って放置しておくと、葉の表面がすぐに乾いた。
パンはすぐカチカチになり、仕方ないので馬に持って行った。
壁にカビが生えて黒くなるなんて、聞いたこともない!
庭に目をやると雨。
こうして天が草木に水をやってくれている。
庭に植えたチューリップにも、あっというまに生える雑草にも、天の水は注がれる。
私の暮らしてきたフランスやスイスでは、花壇には人が常に水をやらなければ花は枯れた。雑草は生えることができなかった。
日本の人々は湿度と共に暮らしている!😲
大和三山にたなびく霞も、雨に煙るブルーライト横浜も、すべて濃厚に水分を含む大気の創り出す情緒ではないか。
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
学びのポイント:私たちのものの感じ方もまた住む場所の気候にかなり影響を受けていると思っておく方が良い。今あることだけが世界の全てではないと知るだけでも気持ちが軽くなるから。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
- おなじテーマの人気記事はこちらです→
- 欧州生活30年の経験をもとに、講演、セミナー、執筆、取材を致します。テーマは国際ビジネスにひそむ見えない文化ギャップ、ダイバーシティとイノベーション、など。