30年ぶりに戻ったら (72) — このアナログな律儀さよ
【ITもまた、たかが紙、されど紙】
ある日のこと、午後一杯かかって、買ったばかりのマックで使う日本語ソフトのアップデートに取り組んだ。
IT系は苦手種目の私、とにかくウェブサイトをあちこち調べてどのソフトを買うべきか機能を比べ、値段の比較をして、、🥶。数時間かけ、ひととおり調査を終えた。おーよくやった、わたし!😁
と、メーカーのA社が直売サイト限定で年末年始セールをしているではないか。なぜ注目したかというと、既にA社のユーザーアカウントを持っていると、ソフトの値段がネットショップの量販店より安くなるからだ!ひゃーこれは見逃せない。
私は10年前にA社のソフトを購入、今まで使っていた。
そのIDですと?
スイスからの引っ越し荷物に自分用IT関連書類は入れてきたはず。ごそごそすること数分間。
あったあった、紙に手書きのユーザーID番号が!
おそるおそるウェブサイトの所定の箇所に入力すると、10年前に登録した番号は今も生きていた!😲
変転の激しいIT業界にあって、10年は大昔に違いない。化石のような私のID番号が、A社のコンピュータに保管され、10年後に戻ってきた時、”あなたはうちのお客さんよ”と認められたと思うと嬉しい。しかも紙に保管された番号が決め手だったとは。この律儀さ、なにやらディジタルな世界にアナログなものを感じるではないか。
スイスでもそんな経験があった。
行政事務はどこでも相当にコンピュータ化されているスイス。特に動きの激しい自動車の登録事務はそうだった。
そんな国だから、なお驚いた。
「あなたのクルマのナンバーはXXXですね。」と言われ、私の車の登録は、新規でなく再登録と扱われてさっさと済んでしまったとき。手数料も新規登録よりは少し安かった。
これは2年3ヶ月ぶりに、思いがけなくも再びジュネーブに住むことになり、自動車登録の手続きに行ったときのことだった。私はもう二度とスイスに住むことはないと思い、労働ビザも返還、クルマの登録もキャンセルし、キチンと始末をつけてスイスを出たというのに。
いやーー物持ちが良い国だ、と思うと同時に、この国とキレイさっぱり縁を切るのはなかなかできないようになっているんじゃないかと思った。
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
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学びのポイント: 人生も世界も、機会のデジタルと人間の持つアナログ感覚とが補完し合ってうまく行っている。
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