30年ぶりに戻ったら (127) — 行列は日本の無形文化財だ
【日本から行列が消える日は来るのだろうか?】
日本の人って本当に行列が上手、と思うことがよくある。世界の中で日本人だけがそうだとは言わないが、かなり希な習慣だとは思う。
私も行列をする。日本では行列する方が物事が早く片付くからだ。
例えば電車に乗りたかったらプラットフォームの床にペンキで描いてある矢印のとおりに列を作って電車の到着を待つ、映画を見たかったら切符売り場に列を作る、、、いろいろな機会があることは皆さんもご存知のとおり。
そこには、行列する人々が皆同じことを考えている、その場限りではあっても真面目に列を作って並んでいれば、自分の望む結果が得られる、という暗黙の約束がある。
行列の習慣を拡げて考えると、人生もそうかも知れない。
まわりの誰もがするように行動していれば、人生はうまく行った時代が、日本にはあったかも知れない。
私はヨーロッパに30年間も住んで、そうではない社会のあることを経験から教えられた。
いろいろな機会に行列に割り込まれたことは何度もある。いい大人がなにを!?と呆れ、順番をないがしろにされ(と思うのは私の価値観だが)悔しかったけれど、行儀良く並んでいれば良いことがある、と暗黙のうちに思っていた私がお人好しだったと認めるほかなかった。
では一体なぜ私は、行列していればOKと思っていたのか?
私は同じ価値観、目的を持って、暗黙の了解の上に人々が行列する社会で身に沁みた価値観とか、そこでだけ通用する常識を疑ったこともなかったのだ。
さすがの日本でも、今時の社会には、「これが正しい」「これが正解だ」という解答はどこにも無くなった(はずだ)。
回答は自分で作るか、または見つけ出す他ない。
日本から行列が消える日は来るのだろうか?
あのどこででも自然にできる行列が、重要無形文化財になる日は来るのだろうか?
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。

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学びのポイント:あなたも行列しますか?それはなぜですか?行列しないで済む他の方法はありますか?
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- 欧州生活30年の経験をもとに、講演、セミナー、執筆、取材を致します。テーマはヨーロッパの多文化共生、国際ビジネスにひそむ罠ー文化ギャップ、ダイバーシティとイノベーション、など。
緊急事態宣言期間中は、ゆるい暗黙のルールが定着してました。人出が戻ってきた今は、見かけません。「ゆるい」のが日本的?!
https://news.line.me/issue/oa-gendaibusiness/zbznn7ui2zxr?utm_source=Twitter&utm_medium=share&utm_campaign=none
まさに!ゆるさの影に隠れた同調圧力、いや、暮らしの知恵。良い悪いと簡単に言えないんですよね、文化って。