30年ぶりに戻ったら (152) — あなたは上司をファーストネームで呼べますか?
【やあジョン!】
あなたは上司をファーストネームで呼べますか?
わたしはできなかった。
英語が話せないのではない、言葉が喉から出てこないのだ。心が言葉をブロックしている。
奨学金を貰って、カナダに留学したのが、わたしの異文化との遭遇の始まりだった。日本で堅い家庭に育ち、堅い会社で働いて来た私に取って、カナダはなにもかもビックリするほどリラックスしていた。少なくとも、そういうふうに当時のわたしの目には映った。
冒頭の「やあジョン!」は、わたしのクラスメートの学生が、廊下ですれ違った学部長にかけた言葉。
その時わたしは 「B教授、こんにちは」としか言えなかった。名字で、肩書きを付けて。
カナダでは人と人との関係を上下で見ない。カナダだけではない、後年住んだヨーロッパもそうだった。
そのためだろうか、英語には丁寧なものの言い方はあるが、敬語はない。
方やわたしが今、日本でドップリ浸かっているZoomには面白い文化があることに気がついた。
ミーティングやセミナーなどで、人々は頻繁にニックネームで名乗るのだ。
日本人にとってのニックネームが、英語文化圏のファーストネームに相当するかというと、どこか違うような気はする。
第一、これはZoomの中にはあっても、その外、つまりリアルの世界には普及してはいない習慣ではないのだろうか?
それでも、「栗崎さん」「○○さん」と呼び合う堅苦しさ、心の距離とは違う感覚を感じる。
こんなに盛んなニックネームの習慣はヨーロッパには無かった。
Zoomで出会った人々とニックネームで呼び合う間柄では、上下関係無しに心を開いて対話がができるのかな?
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
学びのポイント: 言葉と心は繋がっている。無理をすることは無いけれど、機会があったら相手のやり方の合わせて見るのもいい。自分がそれを是とするかどうか、試してみられる!
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
おなじテーマの人気記事はこちらです→
30年ぶりに戻ったら (123) — あなたはお土産を買う、買わない?
30年ぶりに戻ったら (122) — 「自分は知っている」という思い込みを外そう
欧州生活30年の経験をもとに、講演、セミナー、執筆、取材を致します。テーマは国際ビジネスにひそむ見えない文化ギャップ、多文化共生、など。