30年ぶりに戻ったら (161) — この世に気楽な仕事はないけれど
【マイペースで悪いことは何も無い】
わたしの好きなウオーキングの道筋に、農家のおかみさんが出している小さな野菜販売所がある(写真)。

何度も通りかかるうちに、気がついた
ここは、全くのマイペースなのだ、わたしの目から見ると。
11時を廻ると大抵閉店している
わたしの見たところでは、午後に開いていたことは無い
月水金に店を開けます、と札が下がっているが、閉まっていることもある
ここはどうもトマト農家らしく、トマトの収穫期には近所の主婦たちが自転車で買いに来る
野菜が売り切れたら、ハイ、閉店
プロの八百屋さんではない、自家で収穫した野菜だけ売るのだから、まあこれでもいいのか。
この世に気楽な仕事は無いと私は思うが、それでもこの野菜販売所は羨ましいほど自己都合営業なのだ。
そういえばスイスの市場もそんなものだったな、特にドイツ語圏は。
土曜日7時、街の広場に市が立つ。人で賑わうが、11時には店は跡形も無く、綺麗に掃除まで終えていた。
同じスイスでもフランス語圏はもう少しそこが緩やかで、ジュネーブの中心にある市場(マルシェ)では13時頃に人々は店をしまっていたものだった。
時間に遅れていくと、もう野菜もパンも売って貰えない。だから市場に行こうと思ったら、そしてわたしは市場が好きだったのだが、わたしは土曜日には平日並みの時間に起きてさっさと支度して家を出たものだった。お店の都合に自分が会わせる生活だった。
日本に戻って嬉しかったのは、土曜も日曜も、1日中お店が開くこと。もう週末の朝に時間を急かなくても良かった。
でもね、と考え直す。
野菜を売る人々にも、生活のリズムがあるのだ。マイペースで悪いことは何も無い。
消費者の便利を追求することはありがたいが、やり過ぎなくてもいいのではないか?
やり過ぎると、消費者も生産者、流通の人々も互いに息苦しくならないか?
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。
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学びのポイント: あなたの便利は誰かの不便、かも知れない。そして、もう一つの問いは、誰かの便利のためにあなたの便利を削って良いの?ということ。いろいろ考えを巡らせてみよう。
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