30年ぶりに戻ったら (168) — パスポート

【あってアタリマエではない】

11月の地球市民塾では、ミャンマーでロヒンギャの一家に生まれた長谷川瑠璃華さんにインスピレーショントークをお願いした。
長谷川さんは母国でのロヒンギャに対する激しい迫害を逃れるために、中学生の時に家族で日本に移住した。彼女の一家はミャンマーでは、国民とさえ認められなかったという。従ってパスポートも無し。
その後長谷川さんは、3年かかってダメモトで申請した日本国籍を取得した。つまり、帰化した、日本人になったのだ。
日本人になって良かったことが3つある、と彼女は言う。

日本のパスポートを持っていると世界の大多数の国にビザ無しで行けること
外国で自分の実に問題が起きたとき、帰る国があること
投票できること。つまり、自分の運命を決める人々を自分が決められること

そのどれもが、長谷川さんにとって、生まれた国ミャンマーでは得られなかったものだ。日本定住後も無国籍だったために(ミャンマー政府がロヒンギャを国民と認めない)、日本で勉学を諦めたこともあった。
わたしは泣けてきた。
わたしはそれほどまで切実に日本パスポートの有り難みを感じたことがあっただろうか?
ヨーロッパにいると、むしろその逆の経験はあちこちで起きた。
日本はEU加盟国ではない。そのためスイス永住権取得の条件がEU 市民に比べると格段に条件が厳しかった。実生活にもっと近いレベルでいうと、スイスに住み始めたとき、定職も定収入もあったのに、郵便貯金の口座を作れなかった、ある大手の家具店では、大きな買いものをしたのに顧客カードを発行して貰えなかった、など。
わたしはその度に腹を立て、スイスではEUパスポートは日本よりもずっと優遇されている、とオモシロクナイ感情を持った。要するにひがみである。
わたしは、自分が日本パスポートを持っているというだけで、どんなに恵まれているか気づいていなかったのだ!
長谷川さんが得たくても得られなかったものを、わたしはアタリマエのように享受し、それをありがたいと思ったことは無かった。
今、世界中に難民となった人々は約7000万人いると言われる(2018年現在)。
そんな地球で、わたしはなんと恵まれた境遇にいたことか。
安心して住む場所のない人々のために、わたしにも、今自分のいる場所で出来ることが何かあるに違いない。
それは恵まれた場所にいる者の義務だと思った。
これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。

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学びのポイント: パスポートのような、基本のキのような証明書を持たずに(持てずに)生きる人は何千万人といる。そういう人々の苦しみを少しでも減らすために、今いる場所で自分には何ができるか、考えて見よう。小さな事でも良いから。

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