30年ぶりに戻ったら (140) — 地震に失業を思う

【大地は動かないと信じて、ここに立っていよう】

先日未明に地震があった。わたしは起きるのが面倒だったので寝ていた。その地震が縦揺れではなかったから、たかを括ったのだ。

うん、わたしも日本の地質学的特徴に大分慣れたぞ。

1年半前、30年ぶりに日本に戻ってきて最初に地震を経験したときは怖かった。このなんとも言いようのない恐怖、、、日本の皆さん、おわかり頂けるだろうか?

自分の立っている大地が揺れるのだ。この大地さえ当てにならない!もう何を当てにすればいいのだ!?この世に動かないものは何も無いという、底抜けの恐怖。

東日本大震災の直後、多くの外国人が日本を出たという。その人々の気持ちが分かるように思う。地震の無い国から来た人々にとって、前触れも無く大地が揺れる恐怖は、日本人のそれ以上だったことだろう。日本をさっと出て行く気持ちが分かる。

この恐怖、前にも経験があったな、と思った。

ジュネーブで失業したときだ。

ある年の9月、朝10時頃人事部からわたしのデスクに電話がかかってくる。人事部にすぐに来て欲しいという。

行ってみると、わたしの上司と人事課長がわたしを待っている。

人事課長は用意した書類をわたしに見せて、あなたのポストは無くなったと告げる。私物をまとめて12時までに会社を出てください、と言う。

わたしには晴天の霹靂だった。ショックという言葉さえ浮かばなかった。心臓が痛かった。自分の足下の大地がメリメリと音を立てて崩れ落ちていく感覚を、生まれて初めて持った。その底抜けの恐ろしさ!

その年の末になっても次の仕事は見つからなかった。自分が毎日何をしてここにいるのか、自分でも分からなかった。

この時人生で初めて年賀状を書けなかった。自分が今どこに立っていて、これからどこに向かおうとしているのか、皆目分からなかった。わたしの立っている大地が全く当てにならなかった。だから、年賀状に書くことが何も無かったのだ。

今年は年賀状を書いた。メールの年賀メッセージに自分の昨年から新年にかけての居場所と抱負を書いた。そんなことができるとは、なんて幸せなんだろう!

この大地は、いつ前触れも無くメリメリと崩れるかも知れない。ではその日まで、動かないと信じてここに立っていいれば良いのだ。今は動いていないのだから。

これはどちらが良い悪いという話ではありません。世界はこんなもんだということで。

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学びのポイント:足下が揺らいだって、人生は続く。今困ったことがあっても、きっと何とかなる。

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